<プロローグ>
ねえ、私のかわりに歌ってほしいの。あなたなら跳んだり跳ねたりできるでしょ?
もう私はあの舞台に上がることができないから。
あなたならきっと素敵な歌姫になることができると思うの。
ふふふっ。
ごめんなさいね。
もう私も歳ね。
あなたがどんなに可愛くても
あなたは人間じゃないものね。
歌姫になるなんてできないものね。
でも、もしあなたが人間だったら
その可愛い瞳、可愛らしい姿
みんなあなたに夢中になるはずよ。
スポットライトを浴びて
数えきれない人たちの前で
精一杯歌うの
気持ちよかった
うれしかった
楽しかった
本当に毎日忙しくてね
寝る暇もなかったの
いつも居眠りしていたわ
それが悪かったのよね
まさか舞台から落ちるなんてね
すこし入院したらすぐに復帰できると思っていたのに
1年待ち
2年待ち
3年待ったのよ
それでも良くならなくてね
でも歌の練習は欠かさなかった
いつの間にか私の名前は活字から消えて
世間のみんなは私がいなかったとでもいうように
忘れてしまったの
それでもいつかまたこの舞台にたてると思って
一生懸命努力したわ。。。
だけど、無駄だった
やっと歩けるようになったら
もう誰も私のことなんて覚えていなかったの
もう帰る場所もなかったの
でもね、この舞台は私の憧れ
私が一番輝いていた証
ねえ、あなた人間になれないかしら
もしなれたらあなたを世界一の歌姫にしてあげるわ
きっとよ
きっと。。。
(C)Gamekozo 2012